10月3日、「ジネンジャーズ長南町支部」の牧野唯馬さんを訪ねました。唯馬さんは去年結婚し、長南町にお婿さんに来て、一ヶ月前に完全移住。お義父さんから教わり自然薯掘りを始めて三年になります。
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(牧野唯馬さん、28歳)

「ジネンジャーズ長南町支部」とは?!

 名前の由来は、テレビ朝日「相葉マナブ」の番組で、自然薯掘りをする達人「ジネンジャーズ」の名前を真似たことがきっかけ。唯馬さんは自然薯掘りをしながら自身のインスタグラムから「#ジネンジャーズ長南町支部」で発信をしています。
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(車には何と「ジネンジャーズ長南」のロゴが入っています!)
 唯馬さんの自然薯掘りの師匠である義父の敏朗さんは、柔道四段の腕前で、普段は小中学生に柔道を教えています。敏朗さんは、子どもの頃から野山を駆け巡り、自然薯掘りは60年以上の大ベテランで「とにかく掘るのが好き」と満面の笑みでお話ししてくださいました。
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(左:義父の敏朗さん、婿さんの唯馬さん)
 牧野さん親子は、自然薯の収穫シーズンの仕事が休みの日に、おにぎりを持参し、朝から夕暮れまで自然薯掘りをされているそうです。ちなみに、自然薯の本格的なシーズンは、霜が降りる10月下旬頃から。秋が深まり、茶色く枯れた葉や蔓が目立ちはじめた頃が収穫時期です。

天然自然薯掘りへGO!
 
いざ、天然自然薯掘りへ!牧野さん親子の背中を追いかけ山道を歩きます。山裾には山の絞り水が流れ、昔は谷津の奥まで小さな田んぼが広がり、昔からこの場所は「うなぎの寝床」と言われたくらい、細長い曲がりくねった田園風景が広がっていたそうです。この清流には、レッドリストに掲載されている希少な生き物もいるとのことで、改めてこの長南町の里山環境を守っていきたいと思いました。
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(左側に山の絞り水が流れている)
 息がぴったりの牧野さんの親子について歩くこと数分。天然自然薯を見つけました!
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 斜面に自然薯がある場合、すぐ脇を掘ると芋を折ったり傷つけたりしてしまうので、少し離れたところから掘り進めます。
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 上半身がすっぽり入るくらい掘り進め、慎重に芋を手で確認しながら土を搔き出します。土は粘土質の方が食味も粘りも良いそうですが、スコップ等に土が付着するため作業がやり難く、砂地は逆に食味等は若干劣るものの作業はしやすいそうです。

自然薯の見分け方
 自然薯のすぐ側によく自生している間違えやすい植物でトコロ(ばか芋)という芋があります。自然薯とトコロとの簡単な見分け方は、自然薯の葉は「細長いハート型」で濃いグリーン、トコロの葉は「ハート型」で色が薄いグリーンなので区別が付きます。
 また、「むかご」の有・無でも簡単に見分けが付き、自然薯はむかごがあり、トコロはむかごがありません。
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(左:トコロ(ばか芋)、右:自然薯)
 花がらでも簡単に見分けが付き、細長い行司の軍配のような形をしている方がトコロ(ばか芋)、丸い形が自然薯になります。
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(左:トコロ(ばか芋)、右:自然薯)
 冬になって葉が枯れて、蔓だけになる場合は、節の部分でも見分けが可能です。節に突起が有るものがトコロ(ばか芋)、無いものが自然薯になります。
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(左:自然薯、右:トコロ(ばか芋))

自然薯をゲット!
 あっという間に3本の自然薯を収穫。それぞれ約5年物の自然薯が掘りあげられました。牧野さん親子によると、まだまだ大物が山の中にはあるそうで、何と大人の男性の身長と同じくらいの長さの自然薯を掘りあげたこともあるそうです。
 ちなみに、この自然薯の販売はしておらず、全て自家用、近所、知人、友人にお裾分けているそうです。
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天然自然薯を食す!そして天然ウナギも?!
 自然薯の食べ方は色々ですが、すりおろした芋をだし汁入りの濃い味噌汁で伸ばして温かいご飯にかけて頂くのがこの辺りでは一般的ですが、この日は贅沢に、唯馬さんから頂いたマグロを漬けにし、山かけにして頂きました。義母の手打ち蕎麦もあったので、とろろ蕎麦でも頂きました。
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 掘りたての天然自然薯は、粘りが強く、風味も豊かで抜群の美味しさでした♡
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 唯馬さんのご実家は隣接する茂原市。子どもの頃から長南町の里山を自転車で駆け巡り、いたずらっ子で学校の先生には常に注意されるようなやんちゃ坊主だったそうです。今でもアウトドア好きの素質は変わらず、季節になると「天然ウナギ」釣りもするそうです。
 自然薯、マグロだけでなく、お土産では唯馬さん自身が釣った「天然ウナギ」も頂きました。このウナギは睦沢のとある川で釣ったものですが、何と長南町の埴生川にもいるそうです。
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 頂いた「天然ウナギ」を炭火と七輪で焼いて、一旦蒸してから、再度七輪で焼いてタレをつけて焼き上げて頂きました。これもまた美味!!今まで食べたことのないような風味の強さと肉の弾力でした♡
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長南町には魅力的な「人」や豊かな「里山環境」が溢れている

 長南町には、牧野さん親子のような魅力的な「人」や自然薯が採れる豊かな「里山環境」が溢れています。「長南町には何もない」「何でこんな田舎にきたの?」と協力隊の活動時に言われてしまうことがありますが、この様な貴重な体験や美味しいものを頂ける環境が日々幸せでなりません。それが「お金」というものをほとんど介さずに物々交換や感謝の気持ちのやり取りで、暮らしていける豊かさがこの町にはあります。
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 もちろん暮らしていくための、最低限のお金は必要です。しかし、私が20代の頃に思い描いていたような「豊かさ」とは全く違ったベクトルの「豊かさ」を感じる度にこの町に住めて良かったと思うのです。
 今回の自然薯掘りを通じて、長南町の魅力的な「人」や豊かな「里山環境」を改めて情報発信していきたいと思いました。

※取材時の10月3日は、自然薯掘りのシーズンには時期が早く、今回は特別に収穫の様子を見学させて頂きました。