長南町の老舗店「(有)藤平由治商店」は、1月から2月にかけて糀作りが最盛期となり、その現場を見学させていただきました。地域の伝統を守る社長の藤平由之さんの思い、数十年と作り続けても気が抜けない糀作りについてお話を聞いてきました。
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地域の伝統や商店街を守りたい 

 子供の頃から 味噌、糀作り、配達を手伝い、「自分はこの店を継ぐもの」と思い育ってきました。今話題の塩麹に使われる糀は、3代続けて作っています。「先祖代々の仕事を続けてきてくれてありがとう」と遠い親戚の人から言われることがあり、続けなくちゃいけないと思いました。
 会社名の藤平由治は、自分から見て祖父で、その時代に味噌・糀の製造販売を始め、父の代で飼料・肥料・穀物の販売事業を始めました。曾祖父の代は、豆腐屋でした。
 自分の記憶の範囲で、町内には10軒の糀屋がありましたが、時代と共に家で味噌作りをする人が減ったせいか、今ではこの店だけになってしまいました。伝統として続けてきた事をなくす分にはいかないと思い続けています。

手作り糀にこだわりたい
  糀作りは、米の状態や外の天候に左右されやすく、数十年とやっていますが、毎回全く同じものはできません。その上、一回勝負で、お客様からお金を頂く以上失敗できません。
 糀は米を浸す作業から始まり、5回ほどの工程を経て4日目にできあがります。その間、特に大事なことは温度管理です。これが本当に大変で、温度が高すぎると麹菌が死んでしまい、低いと活動せず、どちらにしても糀になりません。時には糀の熱が上がらず、一晩中ストーブと共に室で過ごしたこともありました。温度管理のできる自動の製麹機を使えばもう少し楽になるでしょうが、やはり手作りにこだわりたい。いつも楽しみに待ってくださるお客様がいるので、これまで続けることができました。

 糀ができるまで

◉1日目

 米を洗い、浸水する。

◉2日目
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 ボイラーにスイッチを入れ、米を蒸す。
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 蒸し上がったら小分けにし、帆布に広げ手でほぐしながら冷ます。5903FB0A-A38D-48EC-A645-5E103C47D3E0
 37〜38度に冷めたら麹菌を振りかける。
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 種麹菌は富山県から取り寄せたものを使用。
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 室に保管し、25度を保つ。
 糀の下は帆布、防草シート(藁くず防止のため)、稲わら。帆布で全体を包んで麻袋を最後に乗せて保温する。

◉3日目
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 室の中の糀をほぐす(室の中は25度なので、半袖必須!)。
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 室の糀をさらに手でほぐす。
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 糀専用の一升ますで量りながら木箱に入れる。
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 帆布と麻袋を被せて保温し、昼に切り返し、夜に様子を見に来る。
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 びっしりと菌糸が張り付いた木箱。
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 数十年と住み着いた菌が生きている土蔵造りの室。
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◉4日目
 室から出し、完成。
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糀作りを体験してきました!
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 今回は、糀作りの取材をしながら、お手伝いもさせていただきました。体験して初めてその大変さに気づき、今まで続けてこられた藤平社長の苦労を思い、感謝の気持ちでいっぱいになりました。
 別の日には、昨年の集学校の文化祭の時に発足した「ほぼ道の駅ちょうなんプロジェクト」のメンバーも誘い、数名で糀作りのお手伝いに行ってきました。地域の「結い」の力で長南町の大切な宝物を今後も守っていけたらと思いました。
 

(有)藤平由治商店
◉住所
千葉県長生郡長南町長南1369
◉電話
0475-46-1100
◉営業
9時~17時半、日曜定休
※糀の加工・販売は1月~3月中旬ごろまで
※玄米糀の加工も可能(最低10キロ~)