普段は診療放射線技師の仕事をしながら、休日は実家の古市酒店の片隅で、お客様の好みに合わせた焙煎仕立ての珈琲豆を販売している古市喜章さん。工房を開いたエピソードについてお話しを伺いました。
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(店主の古市喜章さん)
お遍路で出会った「本当の幸せ」

 病院でバリバリ働いていた時、普段から患者さんと接していましたが、体調を崩し「時間とは有限なんだ」とつくづく感じました。ずっとやりたかった事をやろうと思い、四国のお遍路を歩く旅に出ました。

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 お遍路ではお接待文化が延々と受け継がれ、見ず知らずの人が「ご飯を食べていけ」とか「泊まっていきな」と普通に声を掛けてくれます。「この無償の優しさは何だろう?」と感じました。その人達は世間一般に言われる不便な山間に住み、金銭面でもお世辞にも裕福では無さそうでしたが、皆幸せそうでした。
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 歩き遍路は、1200年八十八ケ寺は変化がなくても、その間を結ぶ線上のあらゆる物が変化をし、次に周ったとしても新しい発見や出逢いが素晴らしいと思いました。
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 色んな人と出逢いたくさんの方とお話しさせて頂き、四国の方々のお接待という脈々と受け継がれる途方も無い優しさに涙し、これらの事は全てが偶然だったのか必然だったのかと常に思います。最初は何も知らず重い荷物を背負って、その重さに潰されそうになり、徐々に削ぎ落とし必要最低限でやっと八十八カ寺を周りきれる、ここにも人生の縮図がありました。
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焙煎工房の立ち上げで生まれた「地域との繋がり」
 近所の人が気軽に集まれるお遍路のお接待のような場を長南町で作りたいと思い、2年半前に実家のある古市酒店の片隅で工房を開きました。
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 お店には町内外問わず、近隣の市町村や県外からも来て下さいます。SNSを通じて全国への発送もあり、自分でも想像していなかった現状に驚いています。
協力隊プロフ写真(後日差し替え)

 地域活動では「高齢化社会を考える会長南」や「ほぼ道の駅ちょうなん」、障害者就労支援に珈琲焙煎を行っているキズナさんなど様々な活動へ参加させていただく事で、町を面白く盛り上げていく事が今は楽しくてしょうがありません。少しずつかも知れませんが、長南町全体が変わろうと動き出しています。カフェや飲食店も増えましたのでぜひ多くの方に来ていただきたいです。
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(古市酒店と天の川)
 また、サラリーマン時代には見えなかった長南町の素晴らしさを、移住者や色々な活動をしている方々から教わることが日々の糧となっています。子供の頃から見てきた風景や習慣は、今どうにかしなかったら無くなってしまうでしょう。そのために今できることを地道に続けていくことが、自分にとっての日々の喜びや幸せに繋がっています。

S32年頃の古市酒店
昭和32年頃の古市酒店)


八兵衛珈琲焙煎工房

◉FB
https://www.facebook.com/688884191480518/
◉住所
千葉県長生郡長南町山内973-1
◉電話

0475-46-1500
◉営業
AM9:00から日没まで
営業日はこちらから確認してください


※プロフィール写真、天の川と古市酒店の写真は長南町在住の仁茂田祐基さんから頂きました。ご協力ありがとうございました。